マタニティエクササイズインストラクター経験の助産師が教える~産後の骨盤ダイエットと母乳の関係~

2024年8月18日6:36 AM [未分類]

皆さんこんにちは。今回は産後のダイエットについてお話をしていきたいと思います。

産後も綺麗な体型に戻りたいと、おそらく誰もが望んでいることでしょう。

ですが実際は、産後の体重がなかなか戻らない、下腹がポッコリ、おしりも垂れた、下半身が太るなど体型の崩れを目の当たりにしてちょっぴりショックを受けたりしたことはありませんか。

なかなか痩せないのは出産を経て骨盤が緩んで形が変わってしまっているからです。

ですがそのゆるみを利用し、正しい骨盤の形に矯正すると効率良く体重や体型を戻すことができます。

妊娠~出産~産後の身体の変化からダイエットにフォーカスすると、実は究極に良い時期といえるのです。

妊娠していない時、出産後かなり年月が経った状態で骨盤矯正を行うよりも何倍も矯正しやすくなるという素晴らしい期間とも言えます。

その期間をうまく活用して妊娠前よりも正しい骨盤の形を手に入れて健康的にきれいになっていきましょう。

ですがちょっとお待ちください!産後からいきなり激しい運動をしてしまうと逆に腰を痛めてしまったり、それが原因で尿漏れや子宮脱、痔などの原因になったり、腰痛で余計に運動が億劫になったりと悪循環に陥ってしまいます。

今回はマタニティエクササイズインストラクター経験のある筆者が正しい運動の仕方をご説明していきます。

 

 

目次

なぜ産後が骨盤ダイエットに最適なのか?

骨盤が緩む原因

産後ダイエットの正しい考え方

産後の母乳育児は痩せる

○産後のカロリーの摂り方

 ○母乳育児しているのに痩せない原因

○なぜ産後が骨盤ダイエットに最適なのか?

・産後の身体と骨盤の変化

骨盤とは、人の身体の腰の部分の骨であり、左右1対の寛骨・仙骨・尾骨で構成されています。たくさんの骨で構成されていますが、これを靭帯がつなぎとめて骨盤の形を保っています。

そして人間の身体には「骨盤底筋群」があります。

分娩を通して母体と胎児が分離することで、産後の骨盤は「生理的な捻挫」と起こしているような状態が起こります。

下は正常な骨盤と靭帯の図になります。

   

これは妊娠中に胎児やその付属物、母体に脂肪が付くなど急激な体重変化と身体の重心の変化で姿勢や骨盤が変化することが1つの原因となります。

更に分娩で大きく骨盤の変形が起こるのです。これは分娩時に骨盤の中を胎児が下りて骨盤内の靭帯を引き延ばし、通過の妨げとなりうる、ありとあらゆるものを押し分けて進んでいきます。

その結果、骨盤の骨を形作っている仙骨と尾骨は後ろに押しやられ、座骨と座骨棘とが左右に押し広げられるためです。

骨が両側方に押しやられ、骨盤の下の部分が開いて尾骨が後ろに移動する動きを骨盤の前屈運動と呼び、また逆の動きを後屈運動と呼びます。

お産で骨盤や膣内は広がり、腹直筋は平均15㎝も左右に緩み、腹部の全面でお臍の左右を縦に走る2本の筋肉は、分娩後も完全に閉じることがありません。

中には肋骨が広がったままの状態になる人もいます。

下は産後の骨盤と靭帯の図になります。

  

すごく難しい説明になってしまいましたが、下の図のような姿勢になってしまいます。

これらの状態で産後何も対処せずに、すぐに起き上がったり、反り返った姿勢で過ごしたりするとどうなるでしょう?

重力の作用も加わって様々な臓器が下降してしまい、もとの位置に戻ることは難しくなります。

骨盤が歪んだ状態になると下半身太りだけでなく、体全体にゆがみが生じて腰痛肩こり、生理不順や尿漏れなど様々なトラブルが起こりやすくなっていきます。

妊娠・出産を経験するとここまで骨盤の形が変わってしまう原因の一つにリラキシンというホルモンが関係しています。

骨盤が緩む原因

リラキシンというホルモンはご存じでしょうか。聞きなれない方も多いと思いますが、妊娠~分娩には重要な役割を持つホルモンです。

このリラキシンというホルモンが分泌され、関節を柔らかくしていきます。

そして、分娩の時にいくつもの骨でつなぎ留められて形成されている骨盤の靭帯や関節が緩んで、赤ちゃんを娩出しやすくするのです。

これは帝王切開で出産されていてもリラキシンは分泌されており、骨盤は緩みます。

このリラキシンというホルモンは妊娠から徐々に増えていき、一番ホルモンの量が多い時に出産になります。通れなかった赤ちゃんの通り道を、骨盤を緩めて広げて赤ちゃんは生まれてくるのです。

つまり、リラキシンが無いと出産できないといっても過言ではありません。

そして産後、リラキシンは徐々に量は減っていきますが、約6か月ほど分泌され続けます。その間も凝骨盤は緩くなっている状態です。

硬くなっているものを矯正するのは難しいですが、柔らかくなっているものを矯正するのは簡単ですよね。

このリラキシン分泌期間中を利用して骨盤の形を正しい形に戻すのがチャンスなのです!

ですが、骨盤の緩んだ状態でいきなりハードな運動を始めてしまうと、逆に腰痛を増強させたり、尿漏れの原因になったり、子宮脱という大変な状況になってしまうリスクがあります。

体重が増えすぎても月経困難やさらに高血圧や糖尿病といった生活習慣病につながりやすくもなります。

そのリスクを熟知した助産師が、適切な時期に適切な骨盤のお手当てをしながら体型を整える方法は、また今度説明していきますね。

 ○産後ダイエットの正しい考え方

皆さんはダイエットと聞くと体重を落とすこと、スリムな体つきになること、辛い食事制限やカロリー制限、きつい運動などを想像していませんか?

ともすれば食欲を我慢するなどと、とらえがちですよね。

英語で「Diet」は、直訳すると食事療法です。実はダイエットの本当の意味は適正な食事をしっかりと摂ること、バランスの取れた栄養素や食品をきちんと食べる事なのです。

決して食事制限とすることではありません。

実は、カロリーは適切に摂っていたら太りません。ダイエットにおいて世界で問題になるのは糖質です。

つまり、糖質制限こそが本当のカロリー制限、体重コントロールに役立ちます。

糖質は1gあたり4キロカロリー、タンパク質も1gあたり4キロカロリー、脂質は1gあたり9キロカロリーとされています。

一般的に太ってしまうということになるのは、糖質摂取が原因です。

例えば100キロカロリーを摂取するときも、糖質で摂るのか、たんぱく質で摂るのか、脂質で摂るのかで体重の変化は変わってきます。

食事の中の栄養を、どれを摂取していくかがポイントになっていきます。

○産後の母乳育児は痩せる

・産後の母乳育児が痩せやすい理由

赤ちゃんは母乳1回の授乳で約100mlの母乳を飲みます。

母乳100ml60㎉程度です。完全母乳育児の場合は授乳回数が1日10~12回ほどになるので、ママの1日のカロリー消費量は授乳だけで600~700㎉消費されることになります。

これは10キロマラソンを走るのと同等のエネルギー消費量に相当します。

1カ月でフルマラソンを7回分走るほどのエネルギー消費量になるほどとても体力を使います。

ただ、痩せすぎると体力が持たないため、体調を崩すなど、育児生活に影響が出てしまいます。

さらに産褥期のエネルギー摂取量が1500/日以下になると、母乳が止まりやすくなります。

母乳はママの血液から作られるため、ママが食事で栄養を取らないと鉄分やカルシウムがママの身体から母乳に移行して赤ちゃんに与えられるようになってしまいます。

すると貧血、骨粗しょう症や月経困難といった症状が起こりやすくなり、第2子の妊娠が困難になる確率が上がってしまいます。

産後ダイエットはまず必要なカロリーと栄養をバランスよく食べることに意識を向けるようにしてください。

 

産後のカロリーの摂り方

・産後の母乳育児とカロリー摂取量

産後のカロリー消費量はどのようになっていくのでしょうか。

厚生労働省の資料によると、妊娠前の1日当たりに必要なカロリーにさらに450㎉を毎日追加して摂取することが推奨されています。

これは母乳育児をしつつ、産後直後の体重を妊娠前と同程度に戻すという考え方から出てきている数字です。

○母乳育児しているのに痩せない原因

骨盤ダイエットが成功していればそれなりに好きなものを食べても、母乳育児をしていればまず太りません。それでも太ってしまう人は、一度ご自分の食生活を見直してみてください。

食事で痩せない理由として、母乳育児で空腹感が感じられやすくなっていることや、ストレスで必要以上のカロリーを摂取していることが考えられます。

慣れない育児でストレスがたまると、イライラして無性に甘いものが食べたくなってきます。特に揚物やスイーツ等脂質や糖質が多く含まれているものを食べがちになってしまいます。

ついつい間食が多くなり、結果カロリー過多で太りやすくなってしまいます。

栄養バランスも偏ってしまい、お母さんの貧血が改善しなかったり、母乳も詰まりやすくなっておっぱいがパンパンに張って辛い思いをしたりします。

また、食べたものがそのまま母乳に反映されるので、母乳の質が悪くなり、赤ちゃんへの発育に影響を及ぼすこともあります。

・燃費の悪い身体になろう

痩せやすい身体になる方法の一つがカロリー消費の多い身体になることです。

昨今あらゆるものは省エネを推していますが、私たちの身体はエネルギーの消費が多いのが良いとされています。

言い方を燃費にたとえて説明していきます。

燃費と聞くと大抵の方は自動車を連想しますね。イメージしてみてください。

ご自身の身体を軽自動車とスポーツカーにたとえてみましょう。

同じ10ℓのガソリンで走行したらどちらが早くガソリンがなくなるでしょう?

もちろんスポーツカーの方ですね。この燃費の違いはどこから来るのでしょうか。

それはエンジンの大きさです(660㏄と30004000㏄といいます。)

つまり、人の身体では基礎代謝率がエンジンの大きさにあたります。年齢を重ねると痩せにくくなるのはこの基礎代謝率が下がるためです。

なので、この基礎代謝率を維持するのに手っ取り早いのは、筋肉を増やすことです。筋力トレーニングがポイントになってきます。

 

 

 

参考文献:著者[渡辺信子]書名[骨盤メンテ]出版[日経BP社]

 

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