母乳育児を目指すお母さん必見~妊娠中からできるおっぱいケアの方法~
皆さんこんにちは!
今回は母乳育児を目指しているお母さん方に向けて、妊娠中からできるおっぱいケアの方法をご紹介していきたいと思います。
ところで母乳っていつからどんな風に出てくると思いますか?生まれたら早速あふれんばかりに母乳が沸いてくるというイメージがありませんか?産後ゆったりとした気持ちで赤ちゃんも上手にゴクゴクとおっぱいを吸っているというようなイメージだったり?しかし実際赤ちゃんを産んだ後、母乳が少しずつしか出なかったり、赤ちゃんがなかなかおっぱいを吸ってくれなかったり、痛くて乳頭が切れたり、産後疲れた体でさらに気持ちまでくじけちゃう(泣)。「思ってたんと違う」と感じてしまうこともあるでしょう。そんな理想と現実のギャップを少しでも和らげて気持ちに余裕を作り、かつスムーズに母乳育児ができるよう、乳房の変化や母乳の出方、有効なおっぱいのお手入れ方法をご紹介していきますね。
<目次>
☆おっぱいケアとは
☆母乳育児でおっぱいケアが重要な理由
☆産前~産後の乳房変化と母乳の出方の目安
☆母乳育児でよくあるトラブル
☆母乳育児に有効なおっぱいケアの方法
☆おっぱいケアとは
おっぱいケアとは乳頭や乳房をマッサージすることです。妊娠中からおっぱいマッサージをすることでトラブルを防ぎ、スムーズな授乳ができるようにしていきます。
☆母乳育児でおっぱいケアが必要な理由
出産後のおっぱいは自然に張ってきますが、母乳の出方は人それぞれです。乳頭の形、乳腺の開通具合などによって母乳の出方は違ってきます。乳頭の形は個々によって違いますが、赤ちゃんにとって吸いやすい形とそうでない形があります。
上の図を見てください。左側が赤ちゃんが飲みやすいと言われている乳首の形です。中央と右側の乳首の形は比較的飲みづらい形と言われています。
ですが飲みやすい形であっても伸びが悪くて硬ければ、上手く赤ちゃんが吸うことが難しくなります。
逆を言うと乳頭・乳輪部が柔らかく、伸びが良いと、扁平や陥没乳頭であっても上手に飲める確率がぐんと上がります。
つまり授乳時に乳頭・乳輪部がどれだけ柔らかいかで赤ちゃんのおっぱいの吸いやすさが変わってくるのです。
また赤ちゃんのおっぱいを吸う力は思いのほか強いものです。おっぱいが張って乳頭や乳輪部が硬いと赤ちゃんに吸われたときに痛みがあったり、乳頭亀裂や水泡形成などといったトラブルが起こりやすくなります。産後の疲れた体、慣れない育児の中少しでもそのしんどい状況を回避し、うまく母乳育児の軌道に乗せるためには妊娠中からのおっぱいのお手入れが必要になってきます。
☆産前~産後の乳房の変化と母乳の出方の目安
まず、妊娠中から産後のおっぱいはどう変わっていくのでしょうか。下の表に変化とよくあるトラブルについてまとめてみました。
|
おっぱいの変化 |
母乳の出方 |
あるあるトラブル |
よく聞かれた声 |
妊娠中 |
乳腺が発達、脂肪が増え大きくなる |
ごくわずかに滲む程度 |
切迫早産の方は乳頭マッサージは36週以降に行いましょう |
|
産直後~2日前後 |
乳房が徐々に張り、乳頭周囲が硬くなる |
絞ると約5分以内でポタポタ滴る |
授乳開始で赤ちゃんが吸う力が強く、乳頭の皮膚がヒリヒリしやすい。乳頭が硬いと痛みを伴いやすい。 |
多くのお母さん方は授乳時に「赤ちゃんてこんなに吸う力が強いんだ」と驚く。 |
産後3日目~7日前後 |
乳房の張りが強く乳頭もむくんで硬い。伸びも乏しくなる |
絞ると約2分前後でボタボタ・時々ピュっと出る |
乳房の張りがピークを迎え、赤ちゃんの吸い付きがうまくいかなくなる。痛み、乳頭亀裂・水泡形成などが起こりやすい。胸も重く、しんどく感じやすい。 |
「おっぱいが岩の様だ」「重い、痛い」「ガチガチです」 |
産後2週間前後 |
乳房の張りが落ち着き、母乳育児の軌道に乗り始める |
赤ちゃんが吸うとゴクゴク飲む音が聞こえてくる。母乳の量が不安定なこともある。 |
乳頭亀裂、水泡が継続していると痛みがしばらく続く |
「この痛みいつまで続く?」「母乳は足りる?」 |
産後1か月~3か月以降 |
母乳育児が軌道に乗ることが多い |
赤ちゃんが吸ったり、泣いたりしたときに母乳が勝手に出てくるようになる。 |
おっぱいが詰まったり乳腺炎を起こすことがある。 |
|
☆母乳育児でよくあるトラブル
・乳頭に傷、水泡、赤くヒリヒリした痛みがある
原因:乳頭~乳輪部が硬い、赤ちゃんが浅吸い傾向が考えられます
対処法:毎回授乳直前に乳頭マッサージで柔らかくほぐします。授乳時に乳輪部まで赤ちゃんの口に入るように吸わせます。口に入るのが浅かったり、吸うときに「チュウチュウ」など音がなる場合も浅吸いのサインになるので一旦口から外して吸わせ直してください。また抱っこも赤ちゃんとお母さんのお腹どうしがぴったりくっついているかも上手に吸わせるためのポイントとなります。それでも赤ちゃんの吸い付きが難しい場合は助産師などの専門家に一度相談してみてください。
すでに傷等が乳頭にある場合は授乳後に馬油やラノリン等、赤ちゃんの口に入っても問題ないクリームを塗り、ラップで保護してください。ブラジャーの裏地や母乳パッドでこすれたりくっついたりして痛いときはブレストシェルといった保護器などで接触を避ける方法もあります。水泡がある場合は自然につぶれるまで様子を見てください。
・おっぱいにしこりができた
原因:産後1、2週間以降から起こることがあり、乳腺が詰まってしこりになる
対処法:授乳間隔を短くして頻回授乳をしてみて下さい。また、様々な抱っこの仕方でおっぱい全体まんべんなく母乳を飲んでもらいます。(縦抱き、横抱き、脇抱き等試してみてください)
局所的に痛みや熱感がある場合は冷やした保冷剤(凍っていなくても可)をハンカチ等でくるんでその場所に当てて冷やしてみてください。
全身寒気がして発熱している場合も、しんどくない程度におっぱいを冷やし、可能なら産婦人科などにかかってお薬を処方してもらってください。インフルエンザのような症状が出るため決して無理せず十分体を休めるようにしてください。授乳は可能な限り続けてください。
痛みが強いときに、無理におっぱいを搾らないようにしてください。
ご自身だけで対応できない場合は助産師や産婦人科などに相談してみてください。
☆母乳育児に有効なおっぱいケアの方法
妊娠中期(20週ごろ)から問題がなければマッサージを始めます。特に37週からは早産のリスクもなくなる為積極的に行いましょう。
また胸のサイズが約2サイズ程大きくなっていくため、ブラジャーも締め付けないワイヤレスのものを選ぶと快適です。
<お手入れを行うにあたってのご注意!!>
・事前に乳頭・乳輪部のマッサージが可能か医師や助産師に確認しましょう。
主治医から切迫早産と言われている方は乳頭乳輪部のマッサージを控えましょう。36週(妊娠10ヶ月)以降から始めても問題はありません。
・普段より体調がすぐれない時、お腹が張りやすいときはマッサージを中止しましょう。
・乳頭・乳輪部の皮膚はとてもデリケートな為、必ず爪を短く切り、手を清潔にしてお手入れしましょう。
お手入れ方法
入浴時などリラックスし、ゆったりと時間が使えるタイミングで行います。
乳腺:娠中から母乳がにじみ出ては乳頭に乳カスとして付着していきます。常に清潔、乳口のカスを取り除いておくと母乳が出やすくなります。ベビーオイルやオリーブオイルなどの油で乳首・乳輪部にパックします。コットンやティシュ、ラップ等を使います。ふやけたら優しくタオルなどでふき取ったり、泡立てた石鹸で洗い流しましょう。皮膚がデリケートなのでごしごしこすらないように注意してくださいね。
乳頭:下の絵のように行います。初めて行う際はまだ硬いことが多いため、痛みを伴うことがあります。力の加減をしながら無理せず少しずつほぐしていきましょう。圧迫する力は指が白くなる程度の強さまでです。また、マッサージの刺激でおなかがキュ~と張りやすくなるため、痛みを伴いそうな強い張りの場合はマッサージを中止しましょう。
扁平・陥没乳頭:上記の絵同様にマッサージをしていきますが、乳首をまず外側に出してマッサージをしましょう。それでも治りにくいお母さん方には乳房ケアの道具もあるので、活用するのも一つの方法です。ですが必ず担当医や助産師などから正しい使い方の説明を受けましょう。
乳房:基底部マッサージ
おっぱいの基底部マッサージは、乳頭に触れる事なく柔らかいおっぱいづくりができるのがおススメです。お腹の張りやすい妊婦さんも、このマッサージは母乳育児にはとても有効的です。
上の絵を見ながらしてみましょう。
①右手で左乳房を潰さないように全体的に包み込み、左手で真横に押します。お椀をイメージしながらおっぱい全体が右真横に4~5回動かしてください。
②包んでいる右手を少し下にずらして、左手で再度右側に押します。
③最後に左手を真下に移動させて支え、右手で真上に4~5回動かします。
④反対のおっぱいも同様にして行います。優しくゆっくりとマッサージしましょう。
いかがでしたか?無理せずできそうなところから始めていきましょう。
ゆうこ助産院では母乳育児を目指すお母さん方に妊娠中からサポートいたします。パンフレットやテキストにも載っていないマッサージや体操法もご紹介しておりますのでいつでもお問い合わせくださいね。こちらも合わせてご紹介します。「赤ちゃんが嘔吐したときの原因や対処法・注意点を解説」
参考資料:基底部マッサージ図解 たまgoo!さんより