看護師と助産師の違いとは~資格の取得方法や、業務内容を解説~

2023年12月12日4:32 AM [未分類]

皆さんこんにちは。産婦人科病院などで働いている職員で、看護師と助産師がどう違うのかと疑問なったことはないでしょうか?筆者は今まで関わってきた患者様、妊婦さん方によく聞かれることがありました。

病気や怪我をした患者の治療をサポートする看護師と、妊娠から出産後までの妊婦と新生児のサポートを行なう助産師。
ここでは、看護師と助産師の違いについて、詳しく見ていきましょう。

看護師と助産師の資格の違い

看護師の資格と取得方法

厚生労働大臣指定の看護系学校で3年以上学ぶと、看護師国家試験の受験資格が得られます。

高校卒業後に、4年制の看護系大学をはじめ、3年制の看護系短大や看護専門学校で学んだあとに、国家試験を受験することになります。
あるいは、看護系の高校に進学し5年間のカリキュラムを修了しても、看護国家試験を受験することが できます。

受験資格を得た後看護師国家試験に受験し、合格すれば看護師資格を取得できます。
看護師として働くのに必要なのは看護師資格だけになるので、最短3年で看護師として働きはじめられます。

助産師の資格と取得方法

助産師になるためには、看護師資格と助産師資格の両方を取得しなければなりません。
どちらの資格を取得するにも、まずは国家試験の受験資格を取得する必要があります。

助産師になるにはルートがいくつかありますが、国家試験に合格して看護師資格を取得したあとに、大学院や助産師養成学校であらためて学び、助産師国家試験の受験資格を得るのがルートの一つです。

もしくは、助産師養成カリキュラムのある4年制看護大学に進学し、看護師資格と助産師資格の両方を取得するルートもあります。

ただし、助産師養成カリキュラムのある大学に進学したとしても、履修には選抜試験で一定の成績を修めるなどの条件がある場合が多いので注意が必要です。

助産師国家試験の受験には、看護師資格の取得が条件になります。
どちらのルートに進んでも、助産師国家試験を受けるためには必ず事前に看護師資格を取得しなければなりません。なので助産師をめざす場合は、看護師と助産師の両方の知識を習得する必要があります。ただしこの日本では男性が看護師資格を取得しても助産師資格は取得できません。

看護師と助産師の仕事内容の違い

まず、看護師や助産師は「保健師助産師看護師法」という法律で仕事の定義が定められています。その法律に基づいてそれぞれの仕事が違っていきます。とても簡単に違いを説明すると、助産行為ができるかできないか、になります。

助産行為とは、お産を助ける行為。つまり赤ちゃんを取り上げる行為です。助産行為は助産師資格を持つ助産師と医師のみ認められています。

なので、看護師:助産行為ができない人、助産師:助産行為ができる人、になります。

とはいえ助産師も看護師の免許を持っているので、産婦人科病棟内では看護師と助産師が混合しやすいかと思います。

看護師の仕事

免許は厚生労働大臣から看護師免許を取得します。

一般的には病気や怪我をした患者の治療や診察の補助、入院中の患者の生活のサポートを行ないます。治療や診察時は医師の指示のもと作業します。患者の治療を看護師の判断で行なうことは認められていません。
また、産婦人科に属する看護師の場合、妊婦や産婦、褥婦(出産した後の母親)の病院内での生活サポートは行ないますが、出産時の赤ちゃんを取り上げる助産行為は行いません。ですが、生まれた直後の赤ちゃんを受けて、温かい場所で処置や計測、入院中の沐浴やおむつ替え、ミルクを与えるなどの新生児の日常生活ケアも行います。病院によって小児科の看護師の管轄になることがありますが、未熟児で生まれた新生児の保育器の管理等も行います。

また活躍の場は病院・クリニックに限らず、幼稚園、保育園、高齢者施設、障がい者施設、訪問看護ステーション、一般企業など多岐にわたります。

助産師の仕事

免許は厚生労働大臣から助産師の免許を取得します。

産婦人科では上記の看護師の内容を行いつつ、出産をサポートします。先ほども助産行為ができるかできないかなど看護師との違いを説明しましたが、助産行為は助産師の仕事のごく一部でしかありません。出産前から出産後までの体調管理や両親学級や助産師外来等でメンタルフォローや生活指導も行ないます。産まれた赤ちゃんの健康管理も助産師の仕事です。また、医療施設のみだけでなく、保健センターでの育児相談や家族計画の指導、思春期の子どもたちへの性教育や、デパートなどの商業施設に設けられている育児相談室など、活躍の場は多岐にわたっています。

看護師の病院の開業は認められていませんが、助産師は助産院を開業することが可能です。助産院でどんな仕事をしているのかは「助産院で出産するメリットとは?特徴や産後ケアなどを解説」のブログをご参照ください。

以上の事から資格や業務内容からも見て取れるように、助産師は看護師のスキルに加え、出産に関わる助産師としての専門スキルも取得しています。

看護師と助産師の病院における配属先の違い

看護師、助産師どちらも病院で勤務することは可能です。看護師の配属先は、内科、外科、小児科と病院内のあらゆる科に配属になる可能性があります。また、配属先の異動も珍しくありません。
助産師は出産の専門知識があるため、配属先はほとんどの場合が産科や産婦人科になり、異動はほぼ無いと考えてよいかもしれません。ですが助産師も看護師資格を持っているので、一般病棟に配属されても看護師としてのお仕事も可能です。
看護師も産婦人科に配属になる場合もあります。産婦人科では、出産以外の婦人科の患者の対応もあり、そこにおいては看護師と助産師の業務の違いはありません。

看護師と助産師の勤務形態の違い

勤務時間については、看護師の場合、救急病棟などを除けば大抵の場合は、決められたシフト通りに勤務することになります。そのため、勤務外の計画も立てやすいと言えるでしょう。

一方助産師も産婦人科病院や診療所では大抵シフト通りでの勤務になります。
いつ陣痛が始まる妊婦さんが来られても、1日近くに及ぶ長時間になる出産であっても、大抵の医療施設では助産師が交代でお産のお手伝いを行います。ですが出産が1日に何人も重なり、その場にいる助産師が対応しきれない場合はオンコールで助産師を呼び、応援に来てもらうこともあります。一部の産婦人科や診療所ではオンコール態勢が設けられています。助産師が自宅で待機し、医療施設から連絡が入れば赤ちゃんを取り上げるために出勤するという形態です。勤務時間は不安定になる場合が多くなります。また赤ちゃんが生まれそうになればこのように出産は不確定要素が多いため、助産師はしばしば激務に追われることがあります。

助産院でのお産になると、赤ちゃんが無事に生まれてくるか、また産後のお母さんの出血が多くないか、なども注意して健康管理をしていきます。助産院では異常の無い「正常分娩」のみ対応できます。正常から逸脱すれば直ちに病院へ移動し、医師の指示のもとお産のサポートをしていくので常に気を張っていないといけません。筆者がこの記事を作成していて思いましたが、なかなかにハードですね、、、。とはいえ看護師も助産師もとてもやりがいのある仕事になっています。

いかがだったでしょうか。簡単な違いは赤ちゃんを取り上げられるか取り上げられないかという簡単な言葉にまとまってしまいましたが、活躍の場も医療施設のみでなく意外と近くにいると感じていただけると幸いです。

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